名器と歌い手 (2022/9/13)

数多いるチェロのソリストの中で、
私が、いいなあ、と思ってCDなどを
買ったのは、
後で知ったことに、この2人は
同じストラディバリウスを使っている。
16歳でデビューした天才少女デュ・プレは
何の因果か、多発性硬化症という難病のため
28歳で引退し、1987年に42歳の若さで
亡くなった。
彼女の生涯は映画にもなっていた。
デュ・プレの没後、
彼女のストラディバリウスを
当時すでに「若き巨匠」と呼ばれていた
ヨーヨー・マが引き継いだとのこと。
ストラディバリウスはあまりにも
強烈なパワーを持つ楽器であるため、
中途半端な弾き手だと振り回されて
しまうらしい。
デュ・プレはストラディバリウスを飼い慣らし、
ダンスしている趣がある。
2人とも、この名器にこの歌い手あり、
っていう感じで、ストラディバリウスも
機嫌良く鳴き声を放っているようだ。
しかし、
そのストラディバリウスの音色に
耳が慣れてしまうと、
他のチェリストの演奏は
金属音が耳に刺さるようになってしまった。
それも、痛し痒しだと思う。