どこで、誰と?(2022/8/8)

AV男優の森林原人さんのサブスクでは、
8月に入っても「エネルギーセックス」の
動画配信が続いている。
 たぶん、これが、彼が伝えたい大きなテーマの
ひとつなんだろう。
余計なテクニックやお互いの思考上の思惑を
一旦傍に置いて、ただただ相手の鼓動、呼吸、そして
エネルギーを感じ合いながらするセックス。
配信された動画を見ながら、
森林さんのこのテーマへの思い入れと同時に、
このテーマの制作へのもどかしさも感じた。
エネルギーセックスの動画を見ながら
思い出したのは、
巨匠代々木忠監督の伝説のAV作品、
密教昇天の極意」。
タイトルにわざわざ「密教」の言葉を入れたのは、
男女の交合を聖なる「菩薩の境地」とした
理趣経の教えを意識されてたんじゃないかと思う。
この作品のラストのコマで、
今はレジェンドになったカリスマAV男優の
加藤鷹さんが、
これまた伝説のAVの名女優、栗原早記サマに
ただ単に抱きしめられたまま昇天し失神してしまう。
加藤鷹さんも、この作品は最も記憶に残る作品
だったと言っている。
加藤鷹さんは当時、別のAV女優さんと交際中で、
彼女は仕事柄、彼が他の女性とセックスしまくる
ことについては何とも言わなかったそうなのだが、
この作品についてだけは、どうしようもなく
嫉妬した、って話をどこかで聞いたような。
・・・
この「密教昇天の極意」を見た眼で
エネルギーセックスの配信動画を見た時、
出演している男女の、相手に対する
毛穴の開きっぷりが全く違う。
それは、
出演男女の経験値の違いなのかもしれないけど、
昭和から令和にかけての人間の体感の
変化というものかもしれない。
純粋に肌で何かを感じ取る力や、
自分の体の中で起こっている反応を
感じ取る力が弱くなっているのではないか。
いつぞや私が、「クンニはマインドフルネス」
っていう言葉を発したときに、
それはパワーワードだ、とコメントいただいた
ことがあったけど、
本当はセックスそのものがマインドフルネスなのでは
ないか、と、「密教昇天の極意」のラストシーンを
見ると思って、いや、感じてしまう。
・・・
以前に別の投稿で、
イマドキの子供たちに対して
「人の話は、耳で聞くのではありません。
目で聞くんです!」
と叱責した小学校の先生の話を書いたけど、
今の人たちはスマホ画面をクリクリしながら
人と会話するのが普通になってますね。
で、そんなセックスをする人が
増えてるのではないかと思う。
私の、パートナーとのセックスでも、
奥まで挿入して相手との一体感を高めようと
したときに、
彼女が「自分で気持ちいいを取りに行く」
とかで不自然な腰の動かし方をしたり
自分の指でクリトリスをクリクリしたり
することがあるのだけど、
それって、彼女に対して愛を語ろうとした時に
彼女がスマホをクリクリしながら話を
聞いている、って感じの気分になり、
「一体何をしてるねん!」
と一喝したことが2〜3回ある。
一体、どこで誰とセックスしてるのか。
・・・
セックスは、ただ単に、
さすわさされるわこらええわ
の世界ではないはず。
膣奥まで深く挿入して、
彼女の背骨までガッチリとホールドしていても
「もっとこっちに来てくれ!」
と叫びたくなる時がある。
密教昇天の極意」の最後に栗原早記サマが
「人間の手と手って、触れ合うことはできるけど、
混ざり合わないじゃない? でも、
水とオレンジジュースって混ざり合うでしょ。」
と言っていた。
身体は触れ合えるだけだけど、
ハートやエネルギーは混ざり合える。
そういえば昔々、「ハートカクテル」って
漫画があったな。
セックスの時に、相手と混ざり合い
溶け合う感覚をどうしても追い求めて
しまうのは、
セックスを覚えたてのころから
代々木忠監督の作品をリアルタイムで
ずっと観てきたマニアのサガかもしれない。